この記事のお題
- パワーリフティングとボディービルディングの違い
- 効かせるトレーニングと効かせないトレーニングの違い
この記事での”効かせる”の定義は?
- 負荷時間を意図的に伸ばす
- コンパウンド種目で対象筋への動員を増やす
- アイソレーション種目で的確に対象筋を刺激する
この記事を書いた人

よし
大会出場経験はゼロ
ただ筋トレが好きなだけ
毎日筋トレのことを考えている
そもそも筋トレとは
筋トレの分類 (大部分がレジスタンストレーニング)

筋トレという言葉が指す範囲はかなり広いので少し定義を確認してから話を始めます。
”筋力トレーニングとは骨格筋の出力・持久力の維持向上や筋肥大を目的とした運動の総称のこと”
(Wikipedia)
多くの人が “筋トレ” と聞いて思い浮かべる ダンベルやマシンを使ったトレーニングは狭義ではウエイトトレーニングに分類されます。

筋トレの大部分はレジスタンストレーニングに属しており、そのなかでも特に重力を使うものがウエイトトレーニングと呼ばれます。
整理してみると以下のような関係性です。筋トレはウエイトトレーニング以外にもたくさんあります。
- 筋トレ
- レジスタンストレーニング
- ウエイトトレーニング
- 慣性によるトレーニング
- 弾性によるトレーニング
- 空気圧トレーニング
- 油圧トレーニング
- 電磁負荷トレーニング
- EMS (SIXPADなど)
- レジスタンストレーニング
レジスタンスというのは抵抗のことで、負荷に筋肉で抗(あらが)うことがトレーニングになっているという意味です。

筋肉への負荷は力、時間、距離で決まる?
ざっくりと言うと筋肉への負荷は以下の3つで決まります。
- 力
- 距離
- 時間
筋トレ好きに刺さるように言うと “プログレッシブオーバーロードしてできるだけ重い物をフルレンジで丁寧に扱ってね!” ということです。

水の量を負荷の総量と考えたときに、トレーニングのやり方次第でどういう形で水が溜まるかというのが決まってきます。
パワーリフティングとボディービルの負荷に対する考え方
以降、パワーリフティングをPower、ボディービルディングをBuildと表記することがあります。
2つの競技間で筋肉への負荷に対する考え方は以下のように異なります。
時間と距離をどちらも小さくしてできるだけ力に割り振りたい。
極端な話、とにかく体積が大きければいい。(どれが大きくてもいい)
2次元で概念を書くと以下のようになります。

- Powerは最小限の力で上げ切りたい。
- Buildは長時間持ち続けても、筋肉に負荷が入るのでよい
おさらい
- Powerは力に特化している
- Buildは負荷の総量で考えている
トレーニングを効かせる要素/効かせない要素
ウエイトトレーニングの概念について共通認識が持てたところで、本題の効かせる/効かせないの要素について考えていきます。
要素としては以下の3つがあります。
- 負荷時間を意図的に伸ばす
- コンパウンド種目で対象筋への動員を増やす
- アイソレーション種目で的確に対象筋を刺激する
コンパウンドは多関節種目、アイソレーションは単関節種目です。
負荷時間
負荷時間を”意図的に”伸ばすことは効かせていると言えます。

負荷時間を伸ばせられない(= 1回やるのが精一杯 な)場合は、残念ながらなかなか効かせることが難しいです。ボディービルダーがMAX重量はやらないと言っているのはこれが理由です。

コンパウンド種目の考え方
ここでも2つの考え方を比較します。
最も重量が上がるように負荷を分散したい。
(狙う筋肉は設定せずに、できるだけ全身を使う)
狙った筋肉の動員を増やしたい

水の概念で説明するとこんな感じです。

力方向に伸ばすことを考えるのか、一部分の体積を大きくするのを考えるのかが違いです。
ポイント
理想の比率から筋肉Aの割合を意図的に伸ばす力の入れ方/フォームにすると力の総量は絶対に減ります。
個人的見解
あまり好きな言葉ではありませんが、”使えない筋肉”と言われる原因はここにあると思います。筋肉を大きくすることに特化したトレーニングは力を出す目的に対しては非効率ですし、ある筋肉に特化して負荷を加えることは体の連動性を減らすことになるので全身運動で力が出しにくくなるかもしれません。
アイソレーション種目の考え方
2つの考え方の比較です。
あまりやる意味がない。
(単関節で体を動かすことがない)
的確に対象筋を刺激を入れたい。
コンパウンドではできない追い込みをしたい。
アイソレーション種目はボディービルディング特有だと思います。
アイソレーションで、ある筋肉のことだけを考えるとコンパウンドで重いものを持つよりも負荷がかかるのであれば、筋肥大の観点では最適解という考え方です。


ジュラシック木澤さんは大腿四頭筋の1種目目にレッグエクステンションをやっているようです。
大腿四頭筋のことだけを考えるとモーメントアームは最長に取れるのでたしかに最適解のような気がします。
おさらい
- Powerは全身を1つの単位で考えている
- Buildは1つずつの筋肉単位で考えている
応用例
”負荷時間を長くする” ことと、”コンパウンド種目で対象筋の割合を変える” ことの応用例を考えてみましょう。
前提
・割合を40~60%の間で変えられる
・距離(フォーム)は同じ
・単純な掛け合わせで大小比較できるとする
考える条件
- 力: 10kg 割合: 60% 時間: 5秒 ⇒30
- 力: 20kg 割合: 40% 時間: 3秒 ⇒24
- 力: 30kg 割合: 60% 時間: 2秒 ⇒36
大小関係
大小関係は 3>1>2となります。
ここで言いたいこと
- 軽い重量でも丁寧にやるとよく効く場合がある (1>2)
- とはいえ、やっぱり重いのは正義 (3>1)
結局は、序盤に言った“プログレッシブオーバーロードしてできるだけ重い物をフルレンジで丁寧に扱ってね!”を言葉を変えて繰り返してみただけです。
ちょっと難しい話
いろいろと変なことを言ってきました。
- 意図的に時間を伸ばせられない場合は効かせられない
- コンパウンドで意図的に比率を変えると、力の総量は減る
ボディービルダーは丁寧に1レップずつやっています。経験則でそれが1番効くと分かっているからです。
逆に速く動かすことを考えてみましょう。
- Step1速く動かすには?大きな加速度を与えないといけない
- Step2運動方程式ma = F – mg の a(加速度)が大きくないと v(速さ)は大きくならない(ストロークには限界があるから)
- Step3aを大きくするということは?F = m(a + g)なので結局Fを大きくする必要がある
- Step4Fを大きくするということは?理想的な力の出し方でなくてはならない
⇒意図的に時間や動員する比率を変えられない - Step5結論効かせられるやり方ではない
だから筋肥大を考えると丁寧にやることに行き着くわけですね。
少し重さを犠牲にして、対象筋の動員割合が1番大きくなるやり方で長時間やるのが狙った筋肉に対しては最も負荷が乗るということになります。
筋トレの可動域の影響
可動域に関しても2つの競技の差を考えます。
より理想的なフォームでやるため
(距離が稼げる or 力を大きくできる)
よりストロークが長くなるので負荷/刺激が増える
Powerにおける可動域のメリット
より理想的なフォームでできるのがメリットです。理想的というのは距離の場合もあれば、力の場合もあります。
例① 距離
ベンチプレスのアーチの高さが代表的です。アーチが高いと距離を短くできるので、理屈としては楽にできるということです。
例② 力
例えば、股関節が硬すぎて、デッドリフトのワイドスタンスでは全然力が入らないという人がいるとすれば、理想的ではないフォームで力を出さなくてはいけません。
Buildにおける可動域のメリット
以下の2つのメリットがあります。
- より距離が稼げる
- よりでかく見せられる
より距離が稼げる
ラットプルダウンを例にしますが、フルレンジでやったときに周りから見ても距離が稼げるようになります。

そのうえ、筋肉として見たときにも、より起始と停止が近付けられる or 離せられるようになります。
よりでかく見せられる
ボディービルディングではかなり大事なことですね。ラットスプレッドのときに一番大きく見える位置/角度に肩甲骨をおけるとより体を大きく見せることができます。
余談:軽いダンベルで強い負荷を出すには
アクトレブログさんのYoutubeで薊さんがやっていた方法です。
意図的に体でダンベルを加速させてそれを跳ね返すことでダンベルの重さ以上の力を出す必要が出てくるということです。
これも広義の意味では効かせるトレーニングと言えるかもしれません。

まとめ
効かせるトレーニングと効かせないトレーニングについて個人的な理解をまとめてみました。
最近、以下の2つをよく観ており、そのなかで感じたことをまとめたかったというものです。
パワーリフターのウッシーさん、NAOTOさん、ウッディー上田さんの3人組がやっている
ボディービル日本一の横川尚隆さんがやっている
おさらい
- 筋トレは奥が深い
- できるだけ重い物を持とう
- できるだけ丁寧にやろう
- 基本に忠実にやろう
- 筋トレを楽しもう
アウトプットしたおかげで少し頭がスッキリしたので、また明日からも筋トレを頑張ります。

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