【注意点】
- 国によって大きく違うので、同じ集団のなかで比較しています
- アスリートとしてのレベルが高いほど偏りが強くなります
- RR: 速筋, RX: 中間, XX: 遅筋とも表記します
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【参考】
私は「DNA EXERCISE 」を使って実際に遺伝子検査をやってみました。
速筋/遅筋が向いているスポーツは?
確認した論文では以下のような傾向が見られました。パワー/スピード系には速筋が、長距離系には遅筋ということである程度、イメージ通りなのではないかと思います。
速筋が向いているスポーツ
- パワー系種目
- スピード系種目
遅筋が向いているスポーツ
- 長距離サイクリング
- クロスカントリー
- 長距離ランナー
傾向が見られなかったスポーツ
- 球技
- 水泳
パワー系スポーツは速筋が向いている
パワー系の種目については遅筋タイプの適性が低そう。速筋タイプや中間タイプはどちらも可能性がある。
ここでは以下のような種目を対象としています。
- 短距離種目 (陸上/水泳/競輪)
- スピードスケート
- パワーリフティング
- ボディービル
陸上/水泳/競輪の短距離選手

- 競技者としてのレベルが上がるほど、XXの割合が減っていく
- RRとRXについては差があるとは言えない
集団の詳細
国 | オーストラリア |
---|---|
オリンピアン | 32人 ・陸上 (短距離) |
パワー系全体 | 107人 ・陸上 (短距離) ・水泳 (短距離) ・柔道 ・競輪 (短距離) ・スピードスケート |
一般人 | 436人 ・無作為 |
参考文献
ボディビルダーやパワーリフター

- パワー系の種目ではXXの割合が少ない
- RRとRXについては差があるとは言えない
集団の詳細
国 | アメリカ |
---|---|
パワー系 | 75人 ・ボディビルダー 18人 ・パワーリフター ・パワー系アスリート |
一般人 | 876人 ・無作為 |
参考文献
“傾向として速筋繊維が多い” という遺伝子タイプの他に、”筋繊維密度” や “筋肥大率” などの要素もあるので、RRとRXという分類では差が出てこないのかもしれません。
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持久系スポーツは速筋も遅筋も向いている
持久系種目ではすべてのタイプが平均的に活躍している
ここでは以下のような種目を対象としています。
- 長距離サイクリスト
- ボート競技
- 陸上 5000m
- クロスカントリースキー など
長距離サイクリスト/ボート競技

- 競技者レベルが上がるほど、3つのタイプが均一に近付く
- 一般人と比べるとXXの割合が倍近くになっている
集団の詳細
国 | オーストラリア |
---|---|
オリンピアン | 18人 |
持久系全体 | 194人 ・長距離サイクリスト 77人 ・ボート競技 77人 ・水泳 400m 18人 ・陸上 5000m 15人 ・クロスカントリー 7人 |
一般人 | 436人 ・無作為 |
参考文献
長距離ランナー/ロードサイクリスト

- スペインではXXの割合が増えている
- ポーランドではアスリートと一般人の割合がほぼ同じ
集団の詳細
国 | スペイン / ポーランド |
---|---|
持久系全体 (スペイン) | 154人 ・長距離ランナー 50人 ・ロードサイクリスト 50人 ・ボート競技 54人 |
一般人 (スペイン) | 343人 ・無作為 |
持久系全体 (ポーランド) | 112人 ・長距離ランナー 24人 ・ロードサイクリスト 14人 ・ボート競技 53人 ・水泳 800~1500m 11人 ・クロスカントリー 6人 ・トライアスリート 4人 |
一般人 (ポーランド) | 354人 ・無作為 |
参考文献
持久系種目では有酸素運動の割合が多くなるため、効率的に酸素を取り込んだり、同時並行でエネルギー生産したりする能力も関係してきそうです。
球技系のスポーツの速筋と遅筋の割合
サッカーではRRタイプが増える傾向があるが、テニスやバスケットボールなどは母集団とほぼ変わらない
ここでは以下の種目を対象としています。
- サッカー
- テニス
- バスケットボール
サッカーはやや速筋向き

- 一般人からRRタイプの割合が増える
- XXタイプの割合は一般人とあまり変わらない
集団の詳細
国 | スペイン / 日本 |
---|---|
サッカー (スペイン) | 60人 ・プロ選手 |
一般人 (スペイン) | 123人 ・無作為 |
サッカー (日本) | 234人 ・大学生 |
一般人 (日本) | ・無作為 |
参考文献
1. Catalina Santiago et al., ACTN3 genotype in professional soccer players British Journal of Sports Medicine 42(1):71-3
2. 日本人サッカー選手における ACTN3 遺伝子型とフィジカルパフォーマンスに関する研究
テニスは中間筋向き

- 若干、速筋タイプが増えているようにも見えるが大きな差はない
- (論文としては、類似しており母集団と差がないという結論)
集団の詳細
国 | スペイン |
---|---|
テニス | 128人 ・プロ選手 56人 (ランキングTOP100レベル) ・アマチュア 72人 |
参考文献
バスケットボールは平均的

- 母集団とほぼ差がない
集団の詳細
国 | スペイン |
---|---|
バスケットボール | 100人 |
一般人 | 283人 ・無作為 |
参考文献
球技では筋肉を使うことよりも、周囲の状況を把握する視野や、遠近感を正しく理解する視力などで差が出ているのかもしれません。
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その他スポーツの速筋と遅筋の向き/不向き
レスリングでは速筋タイプが増える傾向があるが、水泳では顕著な差はない
ここでは以下の種目を対象としています。
- レスリング
- 水泳
レスリングはやや速筋向き

- 競技レベルが上がるとXXタイプが少なくなる
- RRとRXに大きな差はない
集団の詳細
国 | 日本 |
---|---|
レスリング | オリンピックレベル |
一般人 | 無作為 |
参考文献
水泳は平均的


- 白人の場合は顕著な傾向は見られない
- アジア人では短距離でRRが増えてXXが減る傾向にある
集団の詳細
国 | (白人) ヨーロッパ/ロシア/アメリカ (アジア) 日本/台湾 |
---|---|
水泳 (白人) | 193人 ・短距離 125人 ・長距離 68人 |
一般人 (白人) | 1694人 ・無作為 |
水泳 (アジア) | 326人 ・短距離 160人 ・長距離 166人 |
一般人 (アジア) | 1252人 ・無作為 |
参考文献
水泳では自由に呼吸ができるわけではないので、肺活量や、乳酸をエネルギーとして使う能力などで差が出ているのかもしれません。
まとめ
速筋タイプと遅筋タイプの割合をスポーツごとにまとめました。
【内容】
【傾向のおさらい】
- 短距離やパワー系種目は速筋タイプが多い
- 持久系種目では3つのタイプがバランスよく存在
- 球技やその他種目では顕著な差が表れないことが多い
(スポーツとして求められる要素が増えてくる?)
